働き方改革に関する問題は、これまでのキャリアコンサルタント学科試験でも何度か出題されています。
資料や法令が複数あり、分かりにくいジャンルかと思いますので、本記事では、働き方改革関連法の重要なポイントと参考資料をまとめています。
働き方改革関連法
「働き方改革」の目指すもの
現在「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立(ワーク・ライフ・バランス)など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。
こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。
「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指していくためのものになります。
ペンギンは、エサ取りと子育ての両立が大変なんやで!
時間外労働の上限規制
1日8時間、1週40時間を法定労働時間としているが、労使協定(サブロク協定)の締結・届け出をすることで労働させることができます。
時間外労働には限度が定められており、月45時間、年360時間を超えてはならないが、特別条項付き協定により労働時間を延長することができます。臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)でも、以下を守らなければなりません。
- 時間外労働が年720時間以内
- 時間外労働と休⽇労働の合計が⽉100時間未満
- 時間外労働と休⽇労働の合計について、「2か⽉平均」「3か⽉平均」「4か⽉平均」「5か⽉平均」「6か⽉平均」が全て1⽉当たり80時間以内
- 時間外労働が⽉45時間を超えることができるのは、年6か⽉が限度
年5日の年次有給休暇の確実な取得
使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者に対し、毎年5日、基準日から一年以内の期間に、時季を指定して有給休暇を与える必要があります。
同一労働・同一賃金の実現
同一労働同一賃金の導入により、同一企業内において、正社員とパートタイム・有期雇用労働者との間で、基本給や賞与などあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止されました。
また待遇に関する説明義務の強化され、労働基準法では、
- 契約期間
- 有期労働契約を更新する場合の基準
- 仕事をする場所と仕事の内容
- 始業・終業の時刻や所定時間外労働の有無、休憩・休日・休暇
- 賃金
- 退職に関する事項
- 就業場所・業務の変更の範囲
- 更新条件の有無と内容
- 無期転換申込機会・無期転換後の労働条件
などについては、文書で明示することが義務付けられています。
さらにパートタイム・有期雇用労働法では、これらに加えて、
- 昇給の有無
- 退職手当の有無
- 賞与の有無
- 相談窓口
の4つの事項についても、明示することが義務付けられています。
高度プロフェッショナル制度の創設
⾼度プロフェッショナル制度は、⾼度の専門的知識等を有し、職務の範囲が明確で⼀定の年収要件を満たす労働者を対象として、労使委員会の決議及び労働者本⼈の同意を前提として、
- 年間104⽇以上の休⽇確保措置
- 健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置等
を講ずることにより、労働基準法に定められた労働時間、休憩、休⽇及び深夜の割増賃⾦に関する規定を適⽤しない制度になります。
フレックスタイム制の拡充
フレックスタイム制は、労働者が⽇々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることによって、⽣活と業務との調和を図りながら効率的に働くことができる制度になります。
- 就業規則等への規定
- 労使協定の締結
をすることで導入できます。
インターバル性の普及促進
勤務間インターバル制度の導入が事業主の努力義務となっています。1日の勤務修了後、翌日の出社までの間に一定時間以上の休息時間を確保する仕組みになります。
参考:ワーク・ライフ・バランスの実現のためには、労使の自主的な取り組みが重要です。
まとめ
まとめると、
- 時間外労働の上限規制
- 年5日の年次有給休暇の確実な取得
- 同一労働・同一賃金の実現
- 高度プロフェッショナル制度の創設
- フレックスタイム制の拡充
- インターバル性の普及促進
この辺りは、出題されやすいポイントになってくるかと思われます。他にも、産業医・産業保健機能の強化などの項目もあります。
法令関連は、苦手に感じる方も多いジャンルになりますが、興味を持つきっかけを見つけながら学習を進めると、少しずつ記憶に定着しやすくなってくるかと思います。
しっかり仕上げていきましょう!