ドナルド・E・スーパー(Donald.E.Super)に関しては覚えておきたいポイントは非常に多くなっています。
- 自己概念
- マキシサイクルとミニサイクル
- 14の命題
- ライフキャリアレインボー
- アーチモデル
- 5つのライフステージ
- ライフロール(9役割)
※このページでは赤文字の自己概念と14の命題についてまとめています。
ざっと、こんな感じです。
中でも自己概念に関してはしっかりと理解しておきたいポイントかと思います。
本記事では、そんなスーパーの自己概念と14の命題についてまとめています。
※自己概念と14の命題以外のスーパーの理論をまとめた記事は下記になります。

ドナルド・E・スーパー
キャリアに関する特性因子理論と自己概念理論を統合させた包括的理論を提唱し、職業の関する回顧と展望を通じて自己概念が形成されていくプロセスこそがキャリア発達だと考えました。
スーパーの基本的な考え
スーパーの基本的な考えは以下3点になります。
- 個人は多様な可能性を持ち、様々な職業を選択することができる。
- 職業発達は個人の発達の一つの側面であり、知的・情緒的・社会的発達などと同様に発達に一般的な原則に従う。
- キャリア発達の過程は、職業を通して自己概念を実現することを目指した漸進的、継続的、非可逆的なプロセスである。
自己概念
自己概念とは「自分とはなにか」「自分自身をどのように感じ考えているか」といった主観的自己と「他者からの客観的なフィードバックに基づき自己によって形成された自己についての概念」といった客観的自己が統合された概念になります。
2つの自己概念の特徴
- 肯定的自己概念:適応や成長を促し、積極的に行動できる
- 否定的自己概念:自尊感情が低く、消極的で意欲的でなくなる
職業的自己概念
キャリアに関する自己概念を職業的自己概念と呼びます。
職業選択を行うに辺り、クライアントがどのような自己概念をもっているかが重要な鍵を握っています。
カウンセリングではクライアントがどのような自己概念をもって、どのように自己認知しているかを正しく理解する必要があります。
キャリア・デベロップメント(職業的発達)
スーパーは職業は自己概念を発達させるためにあると言っています。

なるほど、クライアントの自分自身のイメージをしっかり理解することがキャリアコンサルティングをする際のポイントなんやな。
否定的と肯定的でもアプローチは変わるもんな。奥が深いで!
キャリア・アダプタビリティ
スーパーは成人期以降の個別性が高く、多様な方向性をもつキャリア成熟の概念をスーパーは、キャリア・アダプタビリティと名づけました。そして、このキャリア・アダプタビリティはサビカスに引き継がれ、キャリア構築理論の中核概念となります。

14の命題
スーパーはキャリア発達に関する研究の集大成として『14の命題』にまとめました。
- 人はパーソナリティの諸側面(欲求、価値、興味、特性、自己概念)および能力において違いがある。
- これらの特性から見て、人はおのおの多くの種類の職業に対して適合性を示す。
- それぞれの職業には、必要とされる能力やパーソナリティ特性の独自のパターンがある。職業に就いている人に多様性が見られるように、個人も多様な職業に就く許容性を有している。
- 職業に対する好みやコンピテンシー、生活や仕事をする状況は、時間や経験とともに変化し、それゆえ自己概念も変化していく。
このような社会的学習の成果としての自己概念は、選択と適応において連続性を提供しながら青年期後期から晩年にかけて安定性を増していく。- 自己概念が変化していくこのプロセスは、成長、探索、確立、維持、解放の連続としてみなされた一連のライフ・ステージ(「マキシ・サイクル」に集約され、また発達課題によって特徴づけられた期間へ細分化されうる。ミニ・サイクルは、あるステージから次のステージへキャリアが移行するときに起こる。または病気や障害、雇用主による人員削減、必要な人的資源の社会的変化、または社会経済的ないしは個人的出来事によって、個人のキャリアが不安定になるたびに起こる。このような不安定で試行錯誤に富むキャリアには、新たな成長、再探索、再確立といった再循環(リサイクル)が含まれる。
- キャリア・パターンとは、到達した職業レベルである。また試したものであれ安定したものであれ、経験した職務に従事した順序、頻度、期間を意味する。キャリア・パターンの性質は、各個人の親の社会経済的レベル、本人の知的能力、教育レベル、スキル、パーソナリティの特徴(欲求、価値、興味、自己概念)、キャリア成熟、および個人に与えられた機会によって決定される。
- どのライフ・ステージにおいても、環境と個体の要求にうまく対処できるかどうかは、これらの要求に対処する個人のレディネス(対処するために個人がどの程度準備できているか、すなわち、キャリア成熟)の程度による。
- キャリア成熟は、心理社会的構成概念であり、それは成長から解放までのライフ・ステージおよびサブ・ステージの一連の職業的発達の程度を意味する。社会的視点からは、キャリア成熟は、個人の暦年齢に基づいて期待される発達課題と、実際に遭遇している発達課題とを比較することによって操作的に定義できる。心理学的視点からは、現在遭遇している発達課題を達成するために必要な認知的・情緒的資源と、個人が現在もっている認知的・情緒的資源とを比較することにより操作的に定義できる。
- ライフ・ステージの各段階をとおしての発達は、部分的には能力、興味、対処行動を成熟させること、また部分的には現実吟味や自己概念の発達を促進することによって導かれる。
- キャリア発達とは、職業的自己概念を発達させ実現していくプロセスである。キャリア発達のプロセスは統合と妥協のプロセスであり、そのなかで、生まれもった適性、身体的特徴、様々な役割を観察したり担ったりする機会、役割をこなした結果を上司や仲間がどの程度承認しているかの自己認識との間の相互作用によって自己概念は作られる。
- 個人要因と社会要因間および自己概念と現実間の統合と妥協とは、役割を演じ、フィードバックを受けるなかで学習することである。その役割は空想やカウンセリング面接で演じられる場合もあれば、クラス、クラブ、アルバイト、就職といった現実生活で演じられる場合もある。
- 職業満足や生活上の満足は、個人の能力、欲求、価値、興味、パーソナリティ特性、自己概念を適切に表現する場をどの程度見つけるかによって決まる。満足感は、人がその役割をとおして成長し、探索的な経験を積み、自分にとって合っていると感じられるような類の仕事、仕事の状況、生活様式に身をおいているかどうかに拠る。
- 仕事から獲得する満足の程度は、自己概念を具現化できた程度に比例する。
- 仕事と職業は、たいていの人にとってパーソナリティ構成の焦点となる。しかし、仕事や職業が周辺的であったり偶発的であったり、全く存在しなかったりする人もいる。また、余暇や家庭といったほかの焦点が中心となる人もいる。個人差と同様に社会的伝統(性役割におけるステレオ・タイプやモデリング、人種的民族偏見、機会があたえられるかどうかという社会構造)が、労働者、学生、余暇人、家庭人、市民のうちどの役割を重視するのかの重要な決定要因である。
参考文献:新版キャリアの心理学 渡辺三枝子編著

長すぎて、目がチカチカするわ!
けどな、命題の数は最新版では『14の命題』なので、14という数字は覚えとかなアカンのや!
まとめ
キャリアコンサルタントの勉強を始めてまもなく出てくるスーパー博士ですが、覚えることが多いです。
とりあえず、自己概念はスーパーを理解する上でも重要なポイントなのでじっくり勉強したいと思います。
スーパーの理論の中でもインパクトの強い『ライフキャリアレインボー』についての記事は下記になります。

コメント