令和3年3月29日に第11次職業能力開発基本計画が公開されました。職業能力開発基本計画は、キャリアコンサルタント学科試験過去問では頻出の資料となっています。
本記事では、そんな第11次職業能力開発基本計画の第3部の職業能力開発の方向性と基本的施策の産業構造・社会環境の変化を踏まえた職業能力開発の推進と労働者の自律的・主体的なキャリア形成支援についてポイントをまとめています。
産業構造・社会環境の変化を踏まえた職業能力開発の推進
Society5.0の実現に向けた経済社会の構造改革の進展を踏まえ、IT人材など時代のニーズに即した人材育成を強化するとともに、職業能力開発分野での新たな技術の活用や企業の人材育成の強化を図る。
IT人材の育成強化
教育訓練給付におけるIT分野の講座充実に向けた関係府省の連携、公的職業訓練におけるIT活用スキ
ル・ITリテラシー等の訓練を組み込んだ訓練コースの設定の推進。
- 教育訓練給付制度において、IT分野についても講座の充実に努める。
- 人材開発支援助成金により、企業内で高度なIT人材の育成を促進する。
- 中小企業等の在職者に対して、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(高障求機構)において、民間を活用し、ITの活用による生産性の向上に向けた訓練の提供を推進する。
- 離職者には公的職業訓練において、IT活用スキルや基礎的なITリテラシー等の習得に資する訓練を組み込んだ訓練コースの設定を推進する。
- ものづくり分野におけるIoTやロボット等の第4次産業革命に関連する技術の習得に向けた職業訓練プログラムの開発・実施を推進する。
ITや新たな技術を活用した職業訓練等の推進
オンラインによる公的職業訓練の普及、ものづくり分野の職業訓練におけるAR・VR技術等の新たな技術の導入に向けた検討。
- 新型コロナの影響の下での「新たな日常」への対応の一環として、令和2年5月より、公共職業訓練の全ての課程において、同時双方向型によるオンライン訓練の実施を可能とした。
- 高障求機構が行うものづくり分野の職業訓練における新たなIT技術(AR・VR技術を活用した訓練、受講管理システム等)の導入に向けて、訓練手法の開発・検証等を進める。
- 労働者が必要な時にキャリアコンサルティングを受けることができる環境を整備するために、オンラインを活用したキャリアコンサルティングを推進する。
企業・業界における人材育成の強化
企業・業界における人材育成の支援、中小企業等の生産性向上に向けたオーダーメイド型の支援の実施。
また企業へのセルフ・キャリアドックの導入支援、夜間・休日、オンラインを含めた労働者個人がキャリアコンサルティングを利⽤しやすい環境の整備、キャリアコンサルタントの専門性の向上や専門家とのネットワークづくりの促進、企業の人材育成の取組への提案等に向けた専門性の向上を行う。
- 個々の企業・業界のニーズに即した人材育成のため、人材開発支援助成金により訓練経費等を助成し、企業内又は業界単位での職業訓練の実施を促進する。
- 訓練の修了者が公的職業訓練と同様に技能検定等において一部科目が免除になるなど技能者育成に寄与することも踏まえ、認定職業訓練を行う事業主等を支援する。
- 全国87カ所の職業能力開発促進センター(ポリテクセンター)等に設置した「生産性向上人材育成支援センター」において、中小企業等を対象に、企業の人材育成に関する相談支援及び課題に合わせた人材育成プランの提案を行うとともに、ポリテクセンター等におけるものづくり分野の在職者訓練及び個々の企業のニーズに応じたオーダーメイド型の訓練を中心とする生産性向上支援訓練を実施する。
- 中小企業等への支援として、職業訓練指導員の企業への派遣や、ポリテクセンター等の施設・設備の貸出しも行う。また、事業主団体と共同で訓練コースを開発・実施するなど、個々の実情に応じた支援をしていく。
- 企業における教育訓練を効果的に実施し、労働者の職業生活設計に即した自発的な職業能力の開発等を促進していくために、企業におけるセルフ・キャリアドックの活用促進等が重要であり、国は、企業におけるキャリアコンサルティングの推進を支援していく。
- 中央職業能力開発協会においては、企業内におけるキャリア形成支援の充実を図るため、職業能力開発推進者に対する研修等を実施する。
労働者の自律的・主体的なキャリア形成支援
労働市場の不確実性の高まりや職業人生の長期化等を踏まえ、労働者が時代のニーズに即したスキル
アップができるよう、キャリアプランの明確化を支援するとともに、幅広い観点から学びの環境整備を推進する。
キャリアコンサルティングの推進
企業へのセルフ・キャリアドックの導入支援、夜間・休日、オンラインを含めた労働者個人がキャリアコンサルティングを利⽤しやすい環境の整備、キャリアコンサルタントの専門性の向上や専門家とのネットワークづくりの促進、企業の人材育成の取組への提案等に向けた専門性の向上。
- キャリア形成サポートセンターの整備等を通じて、企業へのセルフ・キャリアドックの導入支援や、夜間・休日、オンラインで利用できる環境等の労働者個人がジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングを利用しやすい環境の整備を更に推進する。
- キャリアコンサルティングの推進に当たっては、産業界・企業における理解が不可欠であり、その理解を促す取組を推進する。
- ジョブ・カードは、キャリアコンサルティングの過程で有効活用できるツールであり、デジタル技術の進展を踏まえ、利便性の向上を図るとともに更なる普及を推進する。
- キャリアコンサルタントについて、平成28年の国家資格化以降、量の確保と資質の維持・向上を図ってきたが、今後は労働力需給調整の場面や職業訓練の場面における支援等の活動領域に応じた専門性を深めることや、豊富なキャリアコンサルティング経験を持つキャリアコンサルタントによる指導を受けることなど、実践力の向上に向けた取組を推進する。
- キャリアコンサルタントに寄せられる相談内容の複雑化・高度化に対応するため、キャリアコンサルタントに必要な知識・技能を身に付ける機会を確保するとともに、専門家や専門機関に関する情報提供や講習の実施等により、産業医や保健師等関連領域の専門家に適切につなぐための知識・能力の習得や専門家等とのネットワーク作りを促進する。
- 企業に関わるキャリアコンサルタントについては、労働者のキャリア意識の形成や職業生活を通じたキャリアプランの作成を支援することに加え、当該企業における人材育成の取組の改善や組織課題の解決に向けた提案を行うなど、キャリアコンサルティングを通じて得られた知見を当該企業の関連する制度やその運用、さらには組織活性化による生産性向上に活かすための専門性の向上を図る。
- 場所を問わずキャリアコンサルティングの機会を提供できるよう、オンラインを活用したキャリアコンサルティングを推進する。
自律的・主体的な学びの支援
IT利活⽤等の企業横断的に求められる基礎的内容を中心とする動画の作成・公開、教育訓練給付制度の対象講座に関する情報へのアクセスの改善。
教育訓練休暇や教育訓練短時間勤務制度の普及促進、社内公募制などの労働者の自発性等を重視した配置制度の普及促進。
- 労働者が自発的な学び直しに取り組みやすくするため、関係省庁と連携して、IT利活用等の企業横断的に求められる基礎的な知識等を学習できる動画を作成・公開し、オンラインで無料で学べる環境を整備する。
- 労働者の主体的な職業能力開発を支援するため、関係省庁とも連携しつつ、教育訓練給付の対象講座の充実に努めるとともに、教育訓練給付の対象講座に関する情報が得やすくなるよう、学び直しに関するポータルサイトと連携する等の情報へのアクセスの改善に取り組む。
- 在職者が自発的な学び直しのための時間を確保できるよう、新たに教育訓練休暇を導入・適用する企業に対して人材開発支援助成金により経費等を助成すること等により、教育訓練休暇や教育訓練短時間勤務制度の普及を促進する。
- 労働者が実務経験を通じた主体的な能力の向上や学び直しの意欲の維持・向上が可能となるよう、社内公募制やフリーエージェント制等の導入その他の労働者の自発性、適性及び能力を重視した的確な配置並びに処遇上の配慮が可能となる制度の普及促進を図る。
Society5.0は興味深いワードやな!
まとめ
新しく公開された資料ということで、かなり細かくまとめました。ポイントになりそうなワードも多く、内容も興味深いものとなっているように感じます。
まずは一読されることをオススメいたします。