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【キャリコン】システマティックアプローチの流れ【6つの段階】

カウンセリング理論

キャリアコンサルタントの現場でのクライエントとの向き合い方や問題解決へのアプローチとして、使われているのがシステマティックアプローチになります。

試験対策として勉強しておくことで学科だけではなく実技や口頭試問にまで応用できるものになっています。

本記事では、システマティックアプローチ折衷的・包括的アプローチという観点から、段階に沿って他の技法を具体例に出しながらまとめています。

システマティックアプローチとは?

職業指導、キャリア・ガイダンスなどキャリアコンサルティングでは 、感情的、認知的、行動的、発達的、構造的アプローチを折衷的・包括的に取り入れてシステマティックに展開します。

また、このシステマティックアプローチは、カナダ雇用移民の「個人雇用カウンセリング-システマティックアプローチ」の執筆を行ったベザンソン(Bezanson)デコフ(Decoff)によって作られたものであること判明しています。(キャリアコンサルティング理論と実際6訂版

以前はピービィ(Peavy,V.)、イーガン(Egan,G.)らによってシステマティック・アプローチが提唱されたとされていた。

システマティックアプローチの流れ

システマティック・アプローチの流れは、

  1. カウンセリングの開始 
  2. 問題の把握
  3. 目標の設定
  4. 方策の実行
  5. 結果の評価
  6. カウンセリングとケースの終了

となり、図にすると下記のようになります。

システマティック・アプローチの流れ

参照元:キャリアコンサルティング理論と実際6訂版

①カウンセリングの開始

温かい雰囲気の中で、クライエントが安心して話のできる信頼関係・ラポール・リレーションつくりを行います。

実技では来談者中心療法の基本的態度やマイクロカウンセリング技法のかかわり行動などを用いている段階になります。

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②問題の把握

来談の目的、何が問題なのかという主訴を明確にしていきます。

問題にはクライエントの問題とカウンセラーが認識する問題が違う場合があるため、お互いに共有して確認を行います。そこで共有した問題の解決のためにカウンセラーとクライエントが行動する意思を確認する。

問題の把握ではマイクロカウンセリング技法のかかわり技法などを用いている段階になります。

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③目標の設定

解決すべき問題を吟味し、最終目標を決定します。

プロセスは、まずクライエントに悩みや阻害要因に気付いてもらいます。次に具体的ないくつかの方策を選択し、それを一連の行動ステップに組み立てています。最後に契約を結ぶことによってクライエントのコミットメントを確かにするというものになります。

  1. 目標の設定は、クライエントが自分の考えを方向付け、最終目標に向かって行動するのを援助する。
  2. 目標が明確に宣言され、かつ到達可能であるとき人を最も動機付ける人は目標に近づけば近づくほど努力する。
  3. 目標設定によって、目標に照らしてカウンセリングの進展を客観的に測定、評価できる。
  4. 目標設定によって、カウンセリングを計画的、合理的に進めることができる。人間関係の質を高めるなどの抽象的な目標のために、カウンセリングをだらだらと長期間にわたって進める危険を少なくできる。
コミットメントとは?
責任をもって関わることを明言すること、責任を伴う約束

実際15分のロープレだと目標設定の段階まで進めるかどうかという感じやな!

④方策の実行

方策の実行は、

  1. 可能性がある方策をいくつか考えメリット、デメリットを比較検討して一つを選ぶ。
  2. 方策実行のプロセスを、クライエントに説明する。方策の内容、目的、原理、プロセス、結果、利点と損失、必要な諸活動などを説明する。
  3. クライエントに合うように方策を変更する。
  4. 方策を実行し、達成するためにカウンセラーとクライエントが「契約」を結ぶ。これは、具体的な行動、すなわち個々の方策を行うことを約束することである。必要があれば、それを文書にした「契約書」を取り交わす。
  5. 決定、採択された方策をクライエントが自分の責任で実行する。カウンセラーも自分の役割を実行する。
  6. 方策全体を行ったかどうか。方策の実行全体をチェックする。

上のような6つのステップを踏んで行います。

主な方策には、

  • 意志決定
  • 学習
  • 自己管理

があります。

意志決定方策

意志決定方策の意味・前提
  1. カウンセリング・プロセスの中でクライエントは、受動的でなく積極的な役割を果たすことができる。
  2. 1つを選択することは、他を捨てることである。何を捨てるかは、何を選ぶかと同様に重要である。
  3. 意思決定には必ず不確実性を伴う。決定されたことは変わることがあるし、完璧性よりは可能性を重視すべきである。
  4. 意思決定のタイミングは、その内容と同様に重要である。
意思決定のプロセス
  1. 達成すべき目標と、それによってもたらされる利点を確認する。
  2. 目標に至る行動計画(Action Plan)を検討する。
  3. その行動をとった場合のメリット、デメリット、必要な経費、実現可能性を検討する。
  4. 検討するための情報を収集、活用、専門家の意見、技術的援助を求める。
  5. 最終決定の前に、各選択肢のメリット、デメリットを比較検討する。
  6. 選択した行動の準備をする。その場合予想される危険や困難性にどう対処するか対策を用意する。

学習方策

支援する学習には、

  • 技能(Skill)
  • 行動パターン(Action Pattern)
  • 意欲(Needs)

の3つのカテゴリーについて学習することが必要になります。

進路選択、就職、キャリア形成に関連した技能(スキル)を学習する

「技能」は、単に特定の職業能力のことではありません。

職業やキャリアを自分で探索、選択、決定、形成するのに必要な知識・技能になります。具体的には関係調整、意思決定、情報探索、職業選択などの能力になります。

適切な習慣を学習する

「行動パターン」は、習慣、癖など、クライエントが気付かない行動パターンのことです。

責任回避、不平・不満をよく言う、対決回避、引き延ばしなどクライエントの性格、行動に関するパターンのことになります。

クライエントの意欲を高める

「意欲」は、目標に向かおうとする意欲のすべてのことになります。

結局はクライエントが意欲を持って行動しなければ目標は達成できないことを知らしめること。になります。

自己管理

クライエントが、カウンセラーにいつまでも依存するのではなく自分で問題を発見し、目標を定め、方策を選び、それを実行することが「自己管理」になります。

自己管理には、

  • 自己監視(セルフ・モニタリング)
  • 状況の修正
  • 行動の学習

の3分野があります。

自己監視

「自己監視」とは、クライエントが自分の行動や環境を観察し、問題が起こる頻度、程度、時期、継続する時間などの特徴を記録し、それに基づいて改善計画を立てること、になります。

状況の修正

「状況の修正」とは、クライエントができるだけ望ましい行動を起こせるような環境に自分を置き、望ましくない環境には意識的に自分を置かないようにすることです。もし環境を変えられる見通しや意欲があれば、環境を変えることでもあります。

行動の学習

「行動の学習」とは、新しい行動の学習で、適切な行動ができた段階で、その行動を真に自分のものになるまで繰り返し学習することになります。

口頭試問では方策について回答する場合もありそうやな…。

どんな方策のパターンがあるかは覚えとかなアカンな。

システィマティックアプローチにおける情報の提供の種類

①決まり切った方法では入手できない情報の提供

情報提供の原則は、カウンセラーが情報そのものを提供するよりも、クライエントが情報を得る方法を教えることになります。情報を探し選択し活用するのはクライエント自身なので、カウンセラーはそれを確認することをします。

また、情報の提供は、単に口頭で示すよりも、例えばクライエント自身に書かせるなどクライエント自身の責任と行動で体験させるのがよい方法となります。

②将来利用できる方法の提供

今すぐ利用できる情報そのものよりも、将来的に活用できる情報を提供する場合は、カウンセラーはどうしたら情報を得られるかを提供するようにします。

③クライエントのニーズ、期待、予想に反する情報の提供

クライエントにとって否定的な情報は、一般にクライエントに受け入れられにくくなっています。

例えば、就職を困難にしている習慣、観念、性格など、求人条件の間違った固定観念、高すぎる期待などの非現実性をクライエントが持っている場合になります。

このような場合は、クライエントに自己学習をさせるとよい。カウンセラーは一般情報を与え、クライエントは、それを基にして自分の期待内容等を再評価し、現実に合わせさせる方法になります。

⑤結果の評価

実行した方策とカウンセリング全体について結果を評価します。評価には、

  1. クライエントとカウンセラーが、目標に照らして何処まで到達したか。
  2. クライエントの同意を得て、カウンセリングを終了する。
  3. カウンセラーは、クライエントの成果を監査(モニタリング)する。
  4. カウンセラーは、このケースについての結果、手段、スキルの行使などについて、自己及び他人による評価を受ける。

上の4つの内容が含まれます。

クライエントの成長の評価

これには、

  1. クライエントが成長したと感情で認識するのではなく実際に行動が変わったという事実によるもの。
  2. 評価するのはカウンセラーや第三者ではなく、クライエント自身である。カウンセラーは、その機会を提供しクライエントの評価に耳を傾けそれを容認する。

といった2つのポイントがあります。

評価の手順

評価のプロセスはビジネスライクにやるのが良いとされます。

  1. クライエントが、現在どんな状態にいるか決定する。
  2. カウンセリング終了時に、クライエントは、どんな行動をとったか記録する。
  3. カウンセリング開始時と終了時の行動を比較する。
  4. カウンセリング終了時の行動を目標と比較する。
  5. 目標は達成されたかどうか決定する。
  6. さらにカウンセリングが必要かどうか決める。
  7. カウンセリングを終了する。

⑥カウンセリングとケースの終了

カウンセリングの終了を決定しクライエントに伝えます。

成果と変化を相互に確認し、クライエントが了解すればケースを終了問題があれば再び戻って来れることを告げます。カウンセラーはケース記録を整理しカウンセリングを完結します。

  1. カウンセリングの終了を正式に宣言し、その後も延々とカウンセリング関係を続けない。
  2. 学習したことを、将来活用できるかどうか話し合う。
  3. 終了してよいか確認し、必要があれば改めてカウンセリングに応ずることを伝える。
  4. ケースを終了する手順(ケース記録、関係書類の保存など)をする。
カウンセラーの自己評価

システィマティック・アプローチの最終段階は、カウンセラー自身の自分自身の評価になります。

自己評価の内容は、

  1. 具体的な結果:就職した、訓練を受けることになったなど。
  2. 質的な側面:自信がついた、就職活動をする気力が出たなど。
  3. 将来への知識、スキル:将来活用できるスキルを身につけたなど。
  4. システィマティック・アプローチの各ステップ:各ステップで行うべきことをしたか。その結果はどうかなど。

になります。

まとめ

システマティックアプローチについてまとめていきましたが、覚えることがかなり多くなっています。学科試験での出題率も高めになっていますので、過去問や練習問題で精度を上げておきたい項目です。

ロープレなど実技に照らし合わせることによって、学科と実技のスキルUPに繋がるのではないかと思われます。

システマティックアプローチの試験対策として過去問の傾向から作成した○×練習問題が下記になりますので挑戦してみてください。

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