社会構成主義は、人間関係が現実を作るという考え方になります。現実の社会現象や、社会に存在する事実や実態、意味とは、個人の頭の中で作られるものではなく、人々の交渉の帰結であると考えられ、言葉が世界を構成しているというものになります。
アメリカの社会心理学者、ケネス・J・ガーゲンは、社会構成主義には、
- 世界や自己を理解するために用いる言葉が世界を構成している。
- 人々の関係から意味を与えられる
- 何かを記述したり説明したり、あるいは別の方法で表現したりする時、同時に自分たちの未来をも創造している
- 自分たちの理解のあり方について反省することが、明るい未来にとって不可欠である
の四つのテーゼがあると提唱しています。
こういった社会構成主義という考え方に基づいているのが、ナラティブやナラティブ・アプローチとなります。
本記事では、そんな社会構成主義に関するキャリア理論と提唱者についてまとめています。
コクラン
1990年代にキャリア分野にナラティブ・アプローチを導入した先駆者になります。
コクランのナラティブ・アプローチの形式は、
- ライフライン(人生を上下行する曲線で描写)
- ライフチャプター(自叙伝の各時期に章名をつける)
- 成功体験のリスト化
- 家族の布置(家族の特徴、違いを確認)
- ロールモデル(尊敬する人と自分の相同・相違)
- 人生早期の記憶
などのインタビュー(質問技法)を通じて、クライアントのナラティブ・ストーリーを強化していくものになります。
コクランについてポイントをまとめた記事が下記になりますでチェックしておいて下さい。
ホワイト
ナラティブ・セラピーは、心理療法家であるエプストンとホワイトによって確立され、書き換え療法とも呼ばれています。
代表的な方法に、外在化技法と呼ばれるものがあります。クライエント自身に問題の命名をさせたりするなど、『会話を外在化』することによって、問題をその人のアイデンティティから切り離す技法になります。
ホワイトのナラティブ・セラピーについてまとめた記事が下記になりますので参考にしてください。
サビカス
マーク・L・サビカスは、キャリアコンサルタント学科試験のキャリア理論の中でも1,2を争うほど頻出となっています。
サビカスのキャリア構築理論ではキャリア構築インタビューで語られるライフテーマを重視しています。また、キャリア構築インタビューは、ホワイトとエプントスのナラティブ・セラピーをベースにした技法になります。
ライフテーマを明らかにするための5つの質問が、
- 尊敬している人物
- 定期的に見る雑誌やテレビ番組
- 好きな本
- 好きなことわざやモットー
- いちばん最初の思い出
となっています。
また、サビカスはキャリア・アダプタリティなども頻出となっていますので、下記記事にポイントをまとめていますので参考にしてください。
まとめ
この中でも特にサビカスは、ほぼ毎回学科試験で出題されています。最重要の得点源のひとつ言えます。練習問題などでしっかり抑えておきましょう。
また他のキャリア理論に関して、まとめた記事が下記になりますので参考にしていただければと思います。