アレン・E・アイビィ(Ivey, A. E. )のマイクロカウンセリング技法は、キャリアコンサルタントの学科試験だけでなく、実技(ロープレ)試験や口頭試問、論述でも使える技法になっています。
覚えることも多いですが、ロープレでの場面を想定しながら覚えていくと学科と実技の両方を同時に学べるのではないかと思います。
マイクロカウンセリング技法
マイクロカウンセリング技法はアイビィらによって開発された包括的・折衷的カウンセリング・モデルになります。様々な手法を統合した技法でカウンセリングの『メタモデル』として定着しています。
マイクロカウンセリングの最終目標は、クライエントを自分の責任で人生を選択できる意図的な人間にすることである。カウンセラー自身がそのために意図性をもち、複数の理論や技法を用意して効果的に使う必要があります。
木村周先生の『キャリアコンサルティング理論と実際』によるところのマイクロカウンセリング技法は、
- かかわり行動
- かかわり技法
- 積極技法
- 技法の統合
の4つの技法(階層)に分けられています。
いずれもカウンセリングにとって重要な基本となる技法ですのでしっかり覚えておきましょう。
かかわり行動
クライエントの話を『聴く』ことに重点をおいた技法です。かかわり行動はカウンセリングの基本であり、聴き手の積極的な傾聴の姿勢をクライエントに示す手法の総称になります。
具体的なかかわり行動
- 視線の合わせ方
- 身体言語
- 声の調子
- 言語的追跡
クライエントとのラポール(信頼関係)を築くのに非常に重要な技法になります。
かかわり技法
言語レベルの傾聴法。クライエントの枠組みに沿ったものでなければいけません。効果的なコミュニケーションの基礎を形成するうえで最も重要な技法になります。非言語的なものが多く、これらは文化によっても異なります。
具体的なかかわり技法
クライエント 観察技法 |
カウンセラーからの質問に対するクライエントの応答と表情・態度との間の矛盾点や変化に気づくことであり、クライエントとカウンセラーとの間で起きていることへの手がかりを得ることができる |
質問 | 「開かれた質問」と「閉ざされた質問」があるが、最初から矢継ぎ早に「閉ざされた質問」をされるとクライエントによっては尋問されているように感じる場合もあるので、注意が必要 |
はげまし | 語りを促す技法。「うんうん」「ええ、ええ」「もっと話しをしてみて下さい」などの言葉 |
いいかえ | 相手の話した内容を、違う言葉で、または相手が表現したがっていると思われる内容を、より明確にした形で表現して返す技法 |
要約 | クライエントの考え、感情そして行動を正確にまとめる |
感情の反映 | 「今ここ」の感情。「あなたは・・・と感じているようですね」「あなたは・・・と感じているように聞こえますが。」というようにクライエントの話すことの情緒的な側面に焦点をおく。 クライエントの言語化されない感情を注意深く観察し、それを手掛かりとして、クライエントが根底にある自分の感情に気づくことである。 |
意味の反映 | 意味の探求。意味づけ。「それはあなたにとってどんな意味をもちますか?」「それはあなたにとって重要なのですか?」クライエントの感情や思考、行動の背景にある、意味を見出すことを援助。 |
積極技法
能動的にかかわりながら、相手の問題解決を促す技法になります。
積極技法によってかかわり技法のみでは得られない効果的な態度変容をもたらすことも少なくありません。
具体的な積極技法
指示 | 効果的にカウンセラーがクライエントに指示を与え、問題解決へ新しい選択肢を提供する |
論理的帰結 | クライエント自ら決断できない場合に選択肢の1つを選ぶと予測される良い結果と悪い結果、両方の想定される帰結を具体的に検討するように促す |
解釈 | リフレーミング。カウンセラーから見る新しい枠組みから意見を述べる |
自己開示 | カウンセラーの自分の個人的経験や観察をクライエントに告げる。行動変容のためのよいモデルとなることもある。 |
情報提供・説明・教示 | 知的な情報提供 |
フィードバック | 非審判的で具体的な事実にもとづき、クライエントをどう見ているかという資料を与え、クライエントの自己探求、自己吟味を促す。 |
カウンセラーの発言の要約 | 積極的要約。面接中におけるカウンセラーの述べた考えや意見・助言などを要約して、クライエントに伝える |
対決(矛盾、不一致) | クライエントの話の脈絡や非言語的表現の不一致や矛盾を非審判的態度で取り上げる |
技法の統合
クライエントの発達投階や面接の進み具合に応じて、いろいろな技法を組み合わせて適切に用い、コミュニケーションをスムーズにしながら問題を解決するほうへ持って行くことになります。
具体的な技法は下記のようになります。
- ラポール
- 問題の評価
- 目標の設定
- 目標に対する方策の設定
- 方策の実行
全体の流れとしては技法を順次進めていく形になります。
かかわり技法・積極技法は種類が多いけど覚えておきたいポイントやで!
マイクロカウンセリング技法の階層表
参照元:http://shokugyo-kyokai.or.jp/shiryou/shokugyo/02-10.html
原則は、現在のステップがある程度達成できたら上位の技法へ進むこととなります。
もし途中で上手く進められなくなったら、下位のステップに戻ったり、クライエントの状態を観察しつつ、適切な影響力を持った技法を選択しながら進めるのがポイントになります。
階層表をトイレに貼ったり、持ち歩いてたら覚えられそうや!
まとめ
アイビィのマイクロカウンセリング技法についてまとめていきました。
過去問でも出題率は高く、かかわり技法・積極技法の説明なども出題されていますし、実際に現場に出ても使える技法になるかと思いますので、じっくり勉強しておきたいポイントです。
すぐにできる過去問の傾向から作成した○×練習問題が下記になりますのでお試しください。
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