令和8年3月に第12次職業能力開発基本計画が公開されました。職業能力開発基本計画は、キャリアコンサルタント学科試験過去問では頻出の資料となります。因みに、本計画の期間は、令和8年度から令和12年度までの5年間となっています。
本記事では、そんな第12次職業能力開発基本計画の第3部 職業能力開発の方向性と基本的施策の今後求められるスキルの変化に対応した戦略的な職業能力開発支援の推進と労働市場でのスキル等の見える化の促進についてポイントをまとめています。
今後求められるスキルの変化に対応した戦略的な職業能力開発支援の推進
産業界や地域、成長分野等において求められる人材ニーズを的確に把握し、デジタル技術の進展等経済社会の動きを踏まえた効果的な職業能力開発を推進することが求められます。
産業界・地域・成長分野等における人材ニーズ等を踏まえた戦略的な職業能力開発の推進
- 中央・地域職業能力開発促進協議会の強化、産官学連携のもと地域のニーズ等を踏まえた訓練機会の創出等
- 戦略分野等について関連の産業界と協働した職業訓練や業界団体の取組の支援、当該分野等の教育訓練給付金指定講座の拡大
- ハローワークでキャリアコンサルティング、スキル向上、職業紹介までの切れ目ない支援サービスを実施
- キャリアコンサルタントが、職務やスキル、処遇、職業能力開発機会等に係る情報を活用できる仕組みを構築
- 職業能力開発に関連する情報や制度に対するアクセス性の向上に向けた申請手続のオンライン化の推進
- 職業能力開発の各種支援策について、処遇向上等の成果の把握を通じて効果検証を行い、見直し等を推進
- リスキリングを促進する国民運動の推進、労使協働の取組の促進
- 産業界・地域・成長分野等における人材ニーズ等を踏まえた戦略的な職業能力開発の推進
公的職業訓練のうち7~8割は民間教育訓練機関が実施を担っていることから、民間教育訓練機関の訓練の質の向上を図り、民間教育訓練機関をはじめとする職業能力開発関係者における認知度を高め、活用を促進していく必要があるとされています。
労働市場でのスキル等の見える化の促進
1.労働市場におけるスキルの標準化と見える化
本方針は、変化の激しい時代において「労働者が自律的にキャリアを選び、能力を高められる環境」と「企業が優秀な人材を確保・育成できる環境」の双方を同時に成立させることを目指しています。
労働者が自分のスキルを証明でき、企業が求めるスキルを明確にすることで、「適正な評価・処遇向上・適材適所の配置」を実現します。
課題と方向性
- 産業構造の変化に伴い、求められるスキルも変化し続けることを前提とする。
- 個人が習得した能力を、労働市場や企業に対して対して証明することを支援する仕組みを整備することも重要。
デジタルプラットフォームの構築
- 「job tag(職業情報提供サイト)」の充実: キャリアラダー(段階的なキャリアアップの道筋)や処遇向上につながる情報の強化。
- 支援策の一元化: 関係省庁のリスキリング支援情報を連携・一体化した利便性の高いプラットフォームの構築(申請のデジタル化も検討)。
評価制度・ツールのアップデート
- スキル標準の企業導入: 海外事例を参考に、企業が社内版スキル標準を導入しやすくなる方策を検討。
- 検定制度の不断の見直し: 技能検定等を産業界の最新ニーズに適合させ、業界単位の能力評価への支援を拡充。
- 公的訓練の見える化: JEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)や都道府県の訓練を、技能検定や資格に直結させ、得られるスキルを明示。
- ジョブ・カードの活用: 認知度を高め、個人のスキルを労働市場へ効果的に伝える仕組みを検討。
2. 企業の職業能力開発に関する情報発信(「選ばれる企業」への転換)
企業の学びの環境(リスキリングや育成方針)を外部に「見える化」することで、人材の採用(確保)と定着(離職防止)につなげます。
課題と方向性
- 多くの企業が「育てても辞めてしまう」という課題を抱えている。しかしデータ上、「能力開発機会への満足度」や「基本方針の策定」は、職場の定着率と相関関係がある。
- 労働者にとって「学びの機会があるか」は重要な職場選択基準であり、取り組む企業が評価される(メリットを享受できる)環境づくりが必要。
具体的な施策
効果的な情報発信の検討: 企業がどのような育成を行っているか、外部へ発信するための効果的な手法を検討。
社内体制の整備・推進支援
- 「事業内計画」の作成や「職業能力開発推進者」の選任を促進。
- 全社的な人材育成方針のモデルや好事例の提示。
- 「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」の周知・啓発。
まとめ
今後は「job tag」「ジョブ・カード」「ガイドライン」などの既存ツールがよりデジタル化・一元化され、実用性が高まっていく流れにあります。企業側には「単に学ばせる」だけでなく、「スキルを定義・可視化し、育成方針を社内外にオープンに発信すること」が強く求められる時代になっていきます。








