カウンセリング理論で最初に習うのがカール・ロジャーズ(Rogers,C.R.)の来談者中心カウンセリングになるかと思います。
学科試験でも3つの基本的態度を中心に出題率は高めになっていますし、実技においても重要な理論になりますので、しっかり勉強していきましょう。
来談者中心カウンセリング
ロジャーズは、人間を自らの基本的潜在能力を最大限に発展させようと努める存在であると捉えて、来談者主導のもとに進めていくカウンセリングとなる、来談者中心カウンセリング(来談者中心アプローチ)を開発しました。
問題解決の方向性としては、クライアントが「前よりもっと自己一致し、自己体験により自分を開くようになり、防衛的でなくなること、すなわち自我の再編成」ということになります。
この来談者中心カウンセリングは、指示的カウンセリングや精神分析に対する受動的決定論的見解とは一線を画し、それらのアンチテーゼとして登場しました。
特徴として、
- 実現傾向
- 人格変化の必要十分条件
- 内的照合枠
- 過程概念
などがあることを覚えておきましょう。
簡単にまとめると、来談者中心カウンセリングはクライエントを人間的に尊重し、その主体性を大切にするアプローチが特徴やな!
来談者中心カウンセリングの基本的態度
来談者中心カウンセリングの方法として最も重要なポイントが3つの基本的態度になります。
3つの基本的態度
カウンセラーは、
- クライエントに対して無条件の肯定的関心を持つ。(受容的態度)
- クライエントの内的世界を共感的に理解し、それを相手に伝える。(共感的理解)
- クライエントとの関係において、心理的に安定しており、ありのままの自分を受容している。(自己一致)
の3点の基本的態度があります。この基本的態度はその他の理論や技法に基づくカウンセリングにおいても共通条件となっています。
この3つは『受容・共感・自己一致』と覚えたら語呂がエエって教わったで!
治療によりパーソナリティ変化が生じるための必要かつ十分な6条件
ロジャーズは「治療によりパーソナリティ変化が生じるための必要かつ十分な諸条件」において、援助的関係の6条件を挙げています。
- 2人の人間が心理的な接触(ラポート・ラポール)を持っていること
- 第1の人(クライエント)は不一致の状態、傷つきやすい状態、または不安な状態にあること
- 第2の人(セラピスト)はその関係の中で一致している状態、統合している状態であること
- セラピストはクライエントに対して無条件の肯定的配慮を経験していること
- セラピストはクライエントの内的照合枠を共感的に理解しており、その経験をクライエントに伝えようと務めていること
- セラピストの理解と無条件の肯定的配慮が、クライエントに最低限伝わっていること
ロジャーズは、これ以外の条件は必要ないと論じています。
過去問にも出てるねんな!
クライアントが変化するために必要な6条件があることは覚えとこう!
因みに、ラポートはラポールの英語読みらしいで。ラポールはフランス語読みや!
エンカウンター・グループ
ロジャーズが人間研究センターを設立して集団心理療法としてエンカウンター・グループを開発しました。『エンカウンター』は出会いという意味です。フリートーク主体で行われるものでベーシック(非構成的)・エンカウンター・グループとも言われます。
後に日本の國分康孝が構成的グループ・エンカウンターを開発しました。
構成的グループ・エンカウンターはエクササイズ(課題)やシェアリングなどを行う手法になります。
ロジャーズの歴史
1940年頃、それまでのカウンセリングが指示的アプローチであると批判して、非指示的アプローチの意義を主張した。
1940年代半ば、「非指示的療法」が単純なテクニックとして固定化することを懸念して、「クライエント中心療法」という名称を使うようになった。
1950年代後半から、体験過程尺度などを使った心理療法の効果についての研究を行った。
1960年代、エンカウンターグループを提唱。ヒューマニスティック心理学会を創設する。
まとめ
ロジャーズの来談者中心カウンセリングで絶対に外せない『3つの基本的態度』は覚えておくようにしましょう。共感的理解など内容も出題されているのでチェックです!
エンカウンター・グループも出題されているので覚えておいた方がよいでしょう。
ロジャーズの理論の『◯✕練習問題』を用意していますのでご利用ください。
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