能力開発基本調査は過去問を見てもかなりの頻度で出題されている資料になります。
内容は、同じような文章が続いているため個人的な感想としてはかなり読みにくい印象を持っています。ですが、キャリアコンサルタント試験を受ける上で外せない資料となっています。
そこで本記事では、最新版の令和2年度能力開発基本調査読みやすいように全過去問の傾向を調べ、問題に直接関係のある部分をまとめるという試みに挑戦しています。
OFF-JT及び自己啓発支援に支出した費用について
令和2年度調査における企業の教育訓練への費用の支出状況をみると、OFF-JTまたは自己啓発支援に支出した企業は 49.7%である。OFF-JTと自己啓発支援の両方に支出した企業は20.2%、OFF-JTにのみ費用を支出した企業は25.1%、自己啓発支援にのみ支出した企業は 4.4%であった。一方、どちらにも支出していない企業は50.1%である。
能力開発の実績・見込みについて
正社員に支出した費用
正社員に対する過去3年間(平成29年度~令和元年度)のOFF-JTに支出した費用の実績では、「増加した」(19.0%)が「減少した」(9.1%)を9.9ポイント上回っており、「実績なし」は46.7%になります。
今後3年間の支出見込みでは、「増加 させる予定」(18.7%)が「減少させる予定」(3.7%)を15.0ポイント上回っているものの、「実施しない予定」が52.5%と多くなっています。
正社員に対する過去3年間の自己啓発支援に支出した費用の実績では、「増加した」(20.2%)が「減少した」(4.3%)を15.9ポイント上回っているものの、「実績なし」も53.0%と多く、今後3年間の支出見込みについては、「実施しない予定」が54.3%と半数以上となっています。
正社員以外に支出した費用
正社員以外に対する過去3年間のOFF-JTに支出した費用の実績では、「増加した」(6.7%)が「減少した」(3.9%)を2.8ポイント上回っているものの、「実績なし」が71.7%で最多となった。今後3年間の支出見込みでは、「増加させる予定」(8.8%)が「減少させる予定」(1.6%)を7.2ポイント上回っているものの、「実施しない予定」が72.6%で最多となっています。
正社員以外に対する過去3年間の自己啓発支援に支出した費用の実績では、「増加した」(10.1%)が「減少した」(1.6%)を8.5ポイント上回っているものの、「実績なし」が71.7%で最多となった。今後3年間の支出見込みについても、「実施しない予定」が70.8%で最多となりました。
事業内職業能力開発計画及び職業能力開発推進者について
職業能力開発推進者の選任状況
選任状況は、「すべての事業所において選任している」とする企業が10.8%、「一部の事業所においては選任している」とする企業が8.0%と1割程度になっています。
教育訓練休暇制度及び教育訓練短時間勤務制度の導入状況について
教育訓練休暇制度の導入状況は、「導入している」とする企業は8.8%、「導入をしていないが、導入を予定している」とする企業は10.7%となり、「導入していないし、導入する予定はない」が82.3%で最多となりました。
教育訓練の実施に関する事項について
計画的なOJTの実施状況
計画的なOJTの実施状況を対象とする職層等別の割合は、正社員では新入社員が49.4%、中堅社員が34.3%、管理職層が20.5%となり、正社員以外では22.3%になります。
正社員に対して計画的なOJTを実施した事業所は56.5%と、前回(64.5%)と前回と比べて減少
しており、3年移動平均の推移でみても、上昇傾向から低下方向へと転じています。
正社員以外に対して計画的なOJTを実施した事業所は22.3%と、前回(29.0%)に比べて減少しており、3年移動平均の推移でみても、近年は低下傾向が続いている。また、長期的には、正社員に対する割合と比較して2分の1に満たない水準で推移している。
労働者のキャリア形成支援について
キャリアコンサルティングを行うしくみの導入状況
正社員または正社員以外に対してキャリアコンサルティングを行うしくみを導入している事業所は38.1%であり、その内訳を見ると、両方に対して導入している事業所は22.5%、正社員のみに対して導入している事業所は15.1%、正社員以外に対してのみ導入している事業所は0.5%になります。
一方、キャリアコンサルティングを行うしくみを導入していない事業所は61.4%になります。
産業別に見ると「金融業、保険業」(80.8%)、「複合サービス事業」(79.0%)、で導入している割合が高い。
企業規模別に見ると、正社員、正社員以外とも規模が大きくなるほどキャリアコンサルティングを行うしくみを導入している割合が高くなっています。
キャリアコンサルティングの実施時期は、
- 「労働者から求めがあった時に実施する」が正社員(50.7%)、正社員以外(55.2%)
- 「1年に1回、3年に1回など、定期的に実施する」(正社員50.5%、正社員以外46.9%)
- 「人事評価のタイミングに合わせて実施する」(正社員49.1%、正社員以外37.6%)
と「労働者から求めがあった時に実施する」が最も多くなっています。
キャリアコンサルティングを行うしくみを導入している事業所のうち、事業所で相談を受けているのはキャリアコンサルタントであるかとの問いに「そうである」と回答したのは10.9%にでした。
しくみを導入していない事業所のうち、キャリアコンサルティングを行っていない理由としては、「労働者からの希望がない」(正社員48.2%、正社員以外47.6%)がも多く、次いで、「キャリアコンサルタント等相談を受けることのできる人材を内部で育成することが難しい」(正社員 33.4%、正社員以外27.6%)となっている。
キャリアコンサルティングを行う目的は、正社員、正社員以外ともに、
- 「労働者の自己啓発を促すため」(正社員71.1%、正社員以外61.8%)
- 「労働者の仕事に対する意識を高め、職場の活性化を図るため」(正社員69.1%、正社員以外62.6%)
が多くなっており、前回と1位と2位が入れ替わっています。
しくみを導入している事業所のうち、キャリアコンサルティングを行う上で問題点がある事業所は、正社員では 66.8%であり、正社員以外では64.5%になっています。
問題点の内訳を見ると、
- 「キャリアに関する相談を行っても、効果が見えにくい」(正社員 43.0%、正社員以外39.9%)
- 「労働者がキャリアに関する相談をする時間を確保することが難しい」(正社員36.2%、正社員以外36.6%)
- 「労働者からのキャリアに関する相談件数が少ない」(正社員34.8%、正社員以外41.8%)
が多くなっています。こちらも前回1位の「労働者からのキャリアに関する相談件数が少ない」が3位になる変動がありました。
ジョブ・カードの認知状況
ジョブ・カードの認知状況は、「内容を含めて知っており活用している」は 1.4%になっている一方、「内容を含めて知っているが活用していない」が18.2%、「名称(言葉)は聞いたことがあるが内容は知らない」が38.0%、「名称(言葉)を聞いたことがなく、内容も知らない」が41.8%と、活用の前に内容そのものを知らない事業所が多い。

ジョブ・カード、相変わらずの存在感の薄さやで・・・
ワイは好きなんやけどな!
労働者の職業能力評価について
職業能力評価の実施状況
正社員を雇用する事業所のうち、正社員に対して職業能力評価を行っている事業所は51.7%(前回54.4%)であり、推移を見ると、平成22年度調査以降、平成25年度までは60%台で推移し、平成26年度以降50%台となったが、3年移動平均を併せて見ると、平成27年度以降では大きな変動はうかがえない。
職業能力評価に係る取組の問題点
職業能力評価を行っている事業所での職業能力評価の活用方法は、
- 「人事考課(賞与、給与、昇格・降格、異動・配置転換等)の判断基準」( 82.1%)
- 「人材配置の適正化」(60.6%)
- 「労働者に必要な能力開発の目標」( 44.7%)
と続いている。
職業能力評価に係る取組に問題
職業能力評価に係る取組に問題を感じる事業所は68.3%になっています。
問題点の内訳は、
- 「全部門・職種で公平な評価項目の設定が難しい」 (71.2%)
- 「評価者が評価基準を把握していないなど、評価内容にばらつきが見られる」(43.5%)
となっています。
これからの職業生活設計について
キャリアコンサルティングの経験
キャリアに関する相談が役立ったことの内訳TOP3は、
- 「仕事に対する意識が高まった」正社員(56.0%)、正社員以外(52.8%)
- 「自己啓発を行うきっかけになった」(正社員24.2%、正社員以外16.0%)
となり、「上司・部下との意思疎通が円滑になった」(正社員20.8%、正社員以外30.1%)は正社員以外が高くなっています。

青枠で囲んでる所は1位が特に重要なんやで!
まとめ
令和2年度能力開発基本調査について過去問に関係する箇所をまとめました。
ただ、全て過去問に関係する箇所から出題されるとは限りませんので、やはり全文を一読しておく必要はあるかと思います。